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薬価下げ新戦略 (8/22、23 日経朝刊)

8月22日と23日の日経朝刊に、上下連載で製薬会社のコスト削減戦略が取り上げられていました。

今年4月の薬価改定により、国内市場に年約7200億円のマイナス影響が出るとみられています。

製薬各社は、工場閉鎖や人員削減だけでなく、AI導入など従来にない戦略も取り始めた、といった記事。


もくじ

1. 上・米国シフトで挽回 (8/22)

2. 下・AIで治験期間半減 (8/23)

3. そこまできたか…

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1. 上・米国シフトで挽回 (8/22)


■世界の医薬品市場 (IQVIA調べ)

1位 米国 41%

2位 中国 11%

3位 日本 7%


以降、ドイツ、フランス、ブラジル、イタリア、英国、と続く


■今回の日本の薬価改定の特徴

・引き下げ幅: 7.48% (過去10年の改定幅は毎回5%程度)

・新薬創出加算の対象が3割減


背景には高額薬価への批判もある


■今回の薬価改定が各社のグローバル化を促す 「日本で稼げないなら米国で取り返す」

・米国先行開発が加速

・研究拠点の米国シフトも続く


(背景)米国では原則、製薬会社が保険会社と折衝して薬価を決めるため、製薬会社は研究開発に投じた費用を回収しやすい


■米国シフトが引き起こす課題

・日本の優先順位が下がる


ドラッグラグ (医薬品の承認格差) が復活か!?



2. 下・AIで治験期間半減 (8/23)


■ロシュ「これまで5年かかった治験が半分になった」

実際には存在しない患者集団をAIで作り出し、治験などに必要なデータを集めてしまったため


・中外: 同様の取り組みを検討中 (詳細は記載がないが、文脈よりプラセボ群のデータをAIで作り出すように思われる)

田辺三菱日立製作所: AIを使い、治験計画に必要な情報収集の時間を70%短縮する技術を開発

・アステラスと理研: 薬効に関わる性質をAIで予測する取り組みを進める


■コスト圧縮が軋轢を生むケースも…

・武田テバ: 48品目の後発薬の販売中止を発表 →顧客との関係より不採算品の削減を優先

日本ケミファ: ベトナムに工場建設

・沢井: 大阪工場閉鎖

・大正、ベーリンガーインゲルハイム、サノフィは人員削減へ


■薬価は下がるが、診療報酬は伸び続け



3. 感想: そこまできたか…


ここしばらくの間、ドラックラグをなくすため日本当局も頑張ってきてたんですけどねぇ。


治験データをAIで作るとは、そこまできたか…と思いました。今年6月ASCOの発表。

海外では導入が進んでいるとのことですが、日本でやるためには当局との交渉が必要です。


個人的には、ポイントは治験のエビデンスレベルの担保だと思います。どうすればいいものなのか、興味があります。


治験の高いエビデンスレベルが保たれるならばデータの一部をAIで作るのもありではないかと、考える人々が続出しますよね。

治験期間が短くなって薬を早く上市出来れば、患者さんに早く新薬を届けられます。記事の主眼はコスト削減ですが、AI導入の一番のメリットはそこでしょう。

あと、本当にAIでコスト削減になるのかはよく分かりませんが、早く上市出来れば特許期間をその分残して販売出来ますから、利益はあがる気がする。会社にとってはそこも大きいはず。



以上、治験にもAIなんだ…と思った話でした。